2007年 02月 18日 ( 1 )
 ガイド ~アズィームとシャフェイサルの話
 先日、日本の連絡事務所に、パキスタンから立て続けに国際電話が鳴りました。ガイドのアズィームが交通事故を起こしたのでした。

 アズィームは、フンザ人のガイドです。フンザの実家で、友人を乗せて日本車のアルトを運転中、スリップし事故を起こして意識不明だというのです。すぐ遠距離の首都イスラマバードに搬送され、大手術となりました。

 ベーグが怒った顔でいいました。
 「だからアルトを買うこと自体、絶対反対といったんだ! いったこっちゃない」。アズィームは足が少し悪い奥さんを乗せたいから、といい、つい最近、まわりの反対を無視して、アルトを買ったらしいのです。

 幸いにも、頭部を4ヶ所も手術して一命はとりとめました。まだ30歳。あと数日で二人目の子どもが生まれるというのに、死んでいる場合ではないのです。

 フンザをご存知の方であれば、あの道をアルトで!とびっくりされるに違いないでしょう。
彼の村はカラコルム山脈2,500m地帯にあります。カラコルム・ハイウェーという道ですが、峻険な山岳地帯の中をカーブが続きます。しかも冬は-20℃まで気温が下がるのです。この事故も氷の道で滑って起きました。そもそもアルトで通用する道ではありません。
 ちなみに我が家の車は4DWのジープです。というか、ここの日常では、ジープかトラクターくらいしか役に立たない、そういう場所なのです。

 冗談ばかりいって、いつもニヤニヤしているアズィームの顔が浮かびます。
「まったく・・・・・・(ため息)」

 心配していると、ほどなく、また電話が鳴りました。今度は、ガイドのシャフェイサルでした。アズィームの具合を訊ねると、
「バービー(私はこう呼ばれています、長男の嫁さんという意味)、アズィームは元気です」と日本語でいうではありませんか。
(元気ぃぃ? 元気のはずないでしょう。 うーーーむ、”無事”とか”経過は良好”といいたいんだな、きっと)と、思いました。これまた、まったく・・・・・・。

 シャフェイサルは、イスラマバードの大学で日本語を勉強して、今は日本語ガイドもしています。一時はそこまでやるとノイローゼになるんじゃないか、というくらい、熱心に勉強していました。日本語のスピーチ・コンテストに出場したこともあります。イスラマバードの事務所に来るたびに、手帳を開いては、私に日本語のわからないところを質問していました。そして現在、日常会話までバッチリとはいかないものの、日本語ガイドを務めています。
 しかし、お客さまが、万が一、登山などで何か事故を起こされて、こういう状態になったと想定した場合、「元気です」なんていったらニュアンスが全然違うじゃない~、と、聞いていてガクッと来てしまいました。はぁ。まことに日本語は難しい。
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 フンザ人は、日本人に情緒が近く、口で言わなくても伝わる、というようなところがあります。かなり気配りもきく民族なので、そういう側面が彼の日本人向けガイディングを助けているとは思いますけれどもねぇ。とはいえ・・・ちょっとため息。
                    こちらはガイドのシャフェイサル→

 少々、脱線しますが、日本の旅行会社のパンフレットに「パキスタンツアー、日本語ガイド」付きというのをよく見かけます。が、プロ!のガイドで、特に北部山岳地帯の経験が豊富で、しかも日本語のよくできるガイドというのは、あまりいないのですけれど\・・・。一体、だれがガイドしているんだろう、と時々、思います。(狭い業界ですし、人と人のつながりが非常に密なところですから)。

 話を戻しましょう。アズィームは意識も戻り、事故3日目にして「子どもが生まれるから俺はフンザに帰る」といっているそうです。大事故をおこした身体で、750キロもの厳しい道をどうやって帰るというのでしょう。
 でも、「どうしても帰りたい」と言っているアズィームが目に浮かびます。

 アズィーム、我が子のためにも早く元気になってね。早く、いつもの、あの変なジョークや皮肉を聞かせておくれ。それからシャフェイサル、更に日本語がんばろうね。

 ※みなさまをあまり驚かせてはいけませんね。
 弊社もいつも車をチャーターして、お客様をお連れする立場にあります。車の整備と、ドライバーの技量と経験は、たしかにできる限り気を配って手配をしていることを書き添えさせていただきます。
 首都イラマバードからパキスタン北部まで1,000キロ弱のインダス川に沿った渓谷沿いの道を往復する時などは、弊社の場合、毎夕、お客様が荷を解いてご夕食をとっていらっしゃる頃、必ず、車も整備し直しに出しているのです。
 ドライバーの経験と技量の方も、北部のドライバーを中心に経験値の高いドライバー(もちろんガイドも)は、例えば、山肌から石が崩れてきやすい箇所なども知り尽くしており、カーブもどのカーブはどれくらいの斜度、角度と経験的によくわかっています。まれに起きる事故も、天災とはいえ、経験があれば、人が巻き込まれることは避けられただろう、というケースもあります。それくらい、車には気を使わなければならないところです。(個人的には、パブリックの夜行バスなどは、極力乗りたくないな、と思っています)。
 
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by silkroad_caravan | 2007-02-18 05:08 | フンザ



フンザへ嫁ぎ、パキスタン政府公認現地旅行会社&取材業に励む日本人女子が綴る仕事最前線やスローライフ。アフガニスタン取材も得意。Silkrad Caravan Tour, TV Media coverage
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