パキスタン非常事態宣言、その後
 非常事態宣言以降のパキスタンをご心配いただいていることと思いますm(__)m。
日本の新聞でも連日、ムシャラフ大統領の顔とともに記事が掲載されていますね。
しかし、どの記事を読んでも、実際のパキスタンの様子や真実がなかなか見えにくいのではないか、と思えます。
現地の市民生活は、多少の不便はありつつも、ふだんと変わりなく続いています。

 弊社のベーグ(夫)からヒアリングして、あえて大方の報道では伝えていない目線で、少し書いてみますね。頭の隅に置いていただき、他の報道とバランスとって考察していただければ幸いです。

 法曹界の弁護士たちがおこした小さなデモ・シーンなどが一時報道されていましたが、市民生活に多大な支障が起きていれば、こういった一部の弁護士連中に限らず、一般市民による大規模デモにつながっているでしょう。しかし、
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  ↑陸軍参謀長退任式に臨むムシャラフ大統領と、キアニ新陸軍参謀長(11月28日)



 これまで、これといった動きも起きていません。最近、ミャンマーで起きた軍事政権による横暴のように、軍の刃が一般国民に向けられている、というようなこともありません。非常事態宣言、憲法の停止・・・良いはずはないけれど。15程度ある主要民間テレビ局は非常事態宣言でいったん、全て停止になりましたが、ほどなくGEOTVとARYTVを除いて、放映が復活しています。報道の自由を約束したのは、当のムシャラフ大統領でした (なぜGEOTVとARYTVが今も停止状態にあるかは、話がだいぶ長くなるので割愛します)。
 ムシャラフ大統領の人気が、以前より落ちつつあるのも事実でしょう。しかし、ただでさえ困難なパキスタンという国の舵取りに加え、2001年のアフガニスタン戦争以降の対処、10万人近い死者を出したパキスタン北部大地震後の対処、前首相のシャリフ時代には破綻しかかって瀕死状態だった経済その他を有言実行で立て直してきたことなど、ムシャラフさんも尽力されてきたといえるわけです。有言実行とは、鉄道・港・航空会社の新設やテコ入れ、道路などのインフラ大幅に新設、整備。ダムの新設。石油や天然ガスを採掘する会社の誘致。辺境地の者も利用ができる携帯電話を開設。特筆したい、教育システムの改善 (不平等で、金持ちの子弟ばかりが優遇される状態だった教育を、一般の子どもにも受けられるように改善。大学なども新たに新設)。これまでパキスタンのトップは、アリ・ブット首相の後、こういった政策を実現してこなかった。また、高学歴のパキスタン人たちの頭脳が生かされる道(職業)は、これまで海外に見出す以外なかなかなかった現実に対し、ムシャラフ政権以降、自国にとどまって活躍の場を見出そう、という動きもでて来ていました。軍事政権自体には、ほとほと嫌がさしている多くの一般国民も、(じゃ、ムシャラフさん以外に誰がいるの?)という気分も少なからずあるわけです。

 ムシャラフ大統領は昨日28日、ついに軍服を脱ぎ、大統領職と兼務していた陸軍参謀長を正式に辞任。これにより8年間続いた軍統治に終止符がうたれ、この軍籍離脱に続き、本日29日は文民大統領として宣誓。パキスタン建国以来、軍政から文民大統領へ移行したのは初めてのことです。軍の新参謀長には、キヤニ副参謀長が昇格しました。世界中の報道で、独裁政権を維持したい”悪者”ムシャラフ大統領・・・という報道が見てとれる中、方法は決して褒められるものではなく世界から非難されるものでしたが、彼が、(腐った民主主義でなく)まともな民主主義への困難な道のりを模索しているのは確かだと思うのですよね。

d0106555_14454436.jpg←”ムシャラフ大統領おめでとう”と顔にペイントし、甘いスイーツを交換し合う少女たちもあれば ↓抗議する弁護士たちもある
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 ブット女史も、(先日、いったんサウジアラビアへ帰されてしまっていた)シャリフ氏も再帰国。近々、非常事態宣言も解除され、総選挙になるのではないかなと思い、見守っています。この8年の間に海外から戻ってきてもらい(経済のテコ入れなどで)辣腕をふるってくれた有能なアジズ首相ももういません。野党勢力の不満解消も難しいでしょう。テロとの戦いなど内外での難しい立場、隣国と長く陸続きの国境、多民族、多様な風土・・・・・・一筋縄ではいかないパキスタン。そして制服を脱ぎ、文民になったムシャラフさんの任期は今後5年。

 ちょっと目についた、本日の毎日新聞さんの記事を引用させていただきます。

「ムシャラフ大統領は少年時代、外交官の父とトルコで過ごし、穏やかなイスラム
世俗国家である同国の在り方に強い影響を受けた。強硬な独裁者とみられがち
だが、側近には「パキスタンもトルコと同様に、穏やかな民主化を歩むべきだ」と
繰り返している。
野党など反政府勢力とどう折り合いをつけ、自身が描く国家像を建設していくのか。
軍の力で政治を動かしてきた大統領が、真の政治家として手腕を試されるのは、
これからだ。」

 外から見ると、実際していることと裏腹にも見えるけれど、”トルコ同様穏やかな民主化への道”は、ムシャラフさんが常々、発言していることです。

 おカミとしては、ひとえに、来シーズンを向かえる頃には、落ち着きを取り戻して欲しい・・・。多くのみなさんがご存じない、平和なパキスタン、多様な文化、悠久のときを語る遺跡群、にぎやかな街角、あたたかい人々、美しい景色をお伝えしたいよぉ。

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by silkroad_caravan | 2007-11-29 19:02 | パキスタンあれこれ
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フンザへ嫁ぎ、パキスタン政府公認現地旅行会社&取材業に励む日本人女子が綴る仕事最前線やスローライフ。アフガニスタン取材も得意。Silkrad Caravan Tour, TV Media coverage
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