弊社のHPフォトギャラリーの作業をしていて、中国・パキスタン国境フンジュラーブ峠の写真で手が止まりました。久しぶりに見るフンジュラーブ峠。ユーラシアを横断する旅人たちの憧れの地点でもある標高4,700mの平和な国境です。ハイウェー上にある国境としては、世界で一番高いところにある、といわれます。
![]() パキスタン北部をご旅行されるお客さまたちも、ツアーでよく行かれるところです。外国人のお客さまたちは、(こちらから見ると)パキスタン、裏から見ると中国、と書いてある石碑をバックに、記念写真を撮られます。よく、制服を着たニコリとも笑わないパキスタン国境警備隊に、一緒にスナップに入ってもらっている方々も見かけます。その後、みなさんはどんなに長くても!30分程度過ごして引き返す、あるいは国境をまたいで去っていきます。空気が薄いですから。 この写真は8月の景色です。婚約時代に、ベーグと義妹と共に、ジープに乗ってピクニック気分で出かけて行きました。お花が咲き乱れ、遠くでヤクが草を食んでいます。ここは、フンザやカラコルム世界との分岐点、国境の向こうはパミールを経て、遥かなる中国側のシルクロード。 さて、お茶やアンズ、ビスケットを食べた後、私はひとりで、写真左手にあるクンジュラーブ氷河まで歩いてみることにしました。5分か10分で氷河のたもとまで行けるように思えたのです。 しかし、甘かった。歩いても歩いても氷河にたどり着きません。15分も歩いて、まだまだ着かないと気付き、あきらめて引き返しました。(こういうところに来ると遠近感というものがなくなってしまうんだなぁ・・・と実感)。 どこに行っても親戚だらけ ~国際空港から国境まで~ この写真を見て、もうひとつ思い出したことがあります。 帰りがけ、国境警備隊の小さなオフィスに寄り、挨拶をした時のことです。実はこういったシーンで、私が注意することが、ひとつあります。現地の人と会う時、私は、初対面の相手を、親戚だと思って挨拶するようにしている、ということです。 それは初対面の人と挨拶し終わった後に、その人が親戚だった、とわかることが経験的にあまりにも多いからなのです。このため、失礼がないように全部、親戚、と思っておくことにしています。もちろん、パキスタンは多民族国家ですから、対面する方が別の民族だった場合は違いますヨ。 案の定、人の良い、初老の警備隊のおじさんは、遠い親戚でした。それから、よもやま話をして、うちの庭で取れたアンズを、袋ごと差し上げて帰って来ました。 夫ベーグは、中央アジア系タジクのワヒ族という民族です。フンザは、ブルショワスキー人とこのタジク系ワヒ族で構成されています。 ワヒ族はアッパーフンザの他にも、パキスタン北部のヤシーン地域、ボローギル地域に住んでいます。あとは国境をまたいで中国ウイグル、アフガニスタン、タジキスタンにも・・・(国境の概念も私たち日本人とは違うはずですよねぇ、ユーラシア大陸の思いきりど真ん中・・・)。 で、ワヒ族も現在は、パキスタン国内各地に仕事で散らばっている住んでいます。このため、イスラマバードの国際空港から、国境の警備隊まで、驚くほど親戚だらけなのです。これには本当に!びっくりします。 親戚の人に会うと、ベーグは後で、家系図を書き、説明しようとするのですが、正直、うんざり。9代前まで軽く記憶している彼らですが、何度聞いても私には覚えられない。”おじいさんの兄弟のお嫁さんの兄弟”というような説明なワケです。そんな私の気持ちをヨソに、「親戚作るのは私たちの趣味だからさ」、とベーグにいわれると、もう笑うしかない^_^; もちろん、彼らがなぜそのように強固な親戚網を築いてきたかという理由は、彼らと同じ環境下で、共に生活していれば見えてくるし、殊に厳しい自然環境で生きていく上での知恵、というものが感じられます・・・というわけで、10年たっても親戚を覚えきることは絶望的な私。 もっともこの親戚人脈で、どこに行っても何をしても、頼れる人がいるわけで、心強いし、もちろん当然のことですが、これが我われの仕事上、どれだけ役に立つことか~~~。あらゆる職業の親戚が、あちこちで働いているわけですから。コネクションでいかようにも対応が変わるパキスタンなのでした。 親戚だらけの別の側面としては、フンザの田舎で犯罪などが起きない、というようなこともいえます。フンザは治安が良く、警察など要らない、とよくいわれますが、そもそも全部、見られているし、悪いことなどできやしないのですね。 私もどこに行っても、何をしても知られてしまうので、ちょっと疲れることがあります。散歩に行き帰宅すると、どこに行っていたか、すっかりバレている、というような調子かな。夫婦ゲンカして気晴らしに外に出ても、夫は私がどこに出かけたか、知っていたりするわけです。私自身だって、アテもなくフラッっと出かけているのに(ーー;) 彼ら、視力がとても良いことも手伝って、どこにいても見られてしまう。ブッシュマンなみの視力を持つワヒ族でもありました。 ▼▲パキスタン現地旅行会社シルクロード・キャラバンのHPはこちらから▲▼
by silkroad_caravan
| 2007-05-19 20:30
| フンザ
|
![]() by silkroad_caravan
弊社は
シルクロードキャラバン社 現地旅行会社& 取材・コーディネーション パキスタン政府ライセンスNo.889 PAKISTAN, AFGHAN テレビ雑誌取材/リサーチ/ 通訳/版権交渉/ NGOロジスティクスサポート 旅行業: フンザの旅/ パキスタン北部トレッキング /仏教の道/ガンダーラ/ シルクロード/世界遺産/時々イランや中央アジアも 代表アミン・ウラー・ベーグ Tel: 046-875-1686 タグ
テレビ取材
パキスタン
パキスタン北部
フンザ
今日の写真
トレッキング
子育て・家族・海外
アフガニスタン
フードライフ・スローライフ
ラホール・カラチ
シルクロードキャラバン
自然(ネイチャー)
災害
テロ
シルクロード
ペシャワール会
あんず
NGO
K2
パキスタン航空
カテゴリ
全体フンザ パキスタン北部あれこれ パキスタンあれこれ アフガニスタンあれこれ イランあれこれ 中央アジア 以前の記事
2022年 08月2020年 02月 2020年 01月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 05月 2019年 03月 2018年 09月 2018年 05月 2018年 03月 2018年 01月 2017年 11月 2017年 07月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 07月 2016年 06月 2016年 05月 2016年 01月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 07月 2015年 05月 2015年 01月 2014年 10月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 03月 2014年 02月 2013年 10月 2013年 08月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 11月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 02月 ライフログ
オクサスとインダス
Nasir Khusraw: The Rudy of Badakhshan : A Portrait of the Persian Poet, Traveller and Philosopher (T
![]() その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
| |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ファン申請 |
||