フンザの悲劇 地滑りでゴジャールに出現した湖
先にお伝えした通り、弊社日本連絡事務所、これまでの同じ湘南地域内での移転を済ませ、ネット再開。最初のブログになります。

1月以降、断続的にお伝えしてきたアッパー・フンザの地滑り以降、土砂でフンザ川が堰き止められ、出現した湖の続報。雪解けの季節以降、水量が増え、さらなる悲劇に発展しそうな状態です。この地滑りは言うまでもなく地球温暖化のさまざまな影響、そしてまたカシミール地震での地盤の緩みなど、複合要因で起きているようです。
フンザやパキスタンを愛する日本の皆さまからもお見舞いメールをいただき、この場をお借りしてお礼申し上げます。自然の脅威の前になす術なく、政府の動きもなく、近隣のフンザ民は安眠できないような精神状態で過ごしています。現在、パキスタンのテレビ・ニュースでもトップ扱いで冒頭の時間を長く割き、報じられています。
                                All photos by Pamir times
   湖は、パキスタンの一番大きな人造湖(水源)の既に6倍の大きさになりました。
フンザの悲劇 地滑りでゴジャールに出現した湖_d0106555_18162952.jpg

     ↓こんな光景がアッパーフンザにあらわれるとは夢にも思いませんでした。
フンザの悲劇 地滑りでゴジャールに出現した湖_d0106555_18165973.jpg


振り返れば、フンザ民の歴史は氷河の歴史とも重なり、氷河の恩恵で生きてきた民族とも言えます。そしてまた、水との戦いを繰り返して民族でもあります。2010年の幕開けと共に、カラコルムの谷を埋める地滑りで、フンザ川が堰きとめられたことにより、パミール・カラコルムから流れおちる水がすべてここに止まれば、当初から大きな2次災害の懸念はされました。予想通り、特に雪解け以降、その水量がどんどん増え、フンザ川より高いところに形成されている村~その果樹、あんずの木や民家が水没していく様は悲劇としか言いようがありません。
私たち夫婦も、カシミール大地震に際しては義捐金を立ち上げ、緊急支援から中期支援までおこないましたが、今回の事件にはある意味、なす術がなく、水没の危機にある村の人たちは2次災害に向け、避難や準備を進めています。
ただし、ほぼ自給自足をしているアッパー・フンザ民、日本の一般の皆さまがイメージされるよりは、小麦やジャガイモなどの備蓄にもさほど困っていません。冬になるまでは、中国側からの物資の調達もできます。

私たちとしては、まず日本や世界の人々にこの事件を知っていただき、専門家のお知恵をいただきたいというところでございます。
昨日、初めて朝日新聞に取り上げられていました(記事タイトル『村と物流、湖に沈む』)、弊社もいくつかのニュース・メディアと連絡を取り合う日々です。
同じ昨日、イスラマバードで、今回の事件に際し、対応をしない政府に対し何度目かのデモが行われましたが、共同通信社さんも見かけた、とベーグが申してりました。かくいう夫ベーグ自身、首都イスラマバードにあっても故郷の危機に、眠れない夜を過ごしています。

***ご注意*** フンザ地域全てが壊滅するようなイメージを持たれるかも知れませんが、そうではありません。この事件はフンザの中心地カリマバードからカラコルム・ハイウェーを中国方面に北上し、約30分のところにある小さな村アッター・バードで起きました。これは新しい名前で,地元民はこの村を”サラット”と言っています。
湖の横断に関しては、これからヘリにより(当然、無料)行われる予定です******

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by silkroad_caravan | 2010-05-23 18:56 | フンザ
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フンザへ嫁ぎ、パキスタン政府公認現地旅行会社&取材業に励む日本人女子が綴る仕事最前線やスローライフ。アフガニスタン取材も得意。Silkrad Caravan Tour, TV Media coverage
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