カラコルム峡谷の地形を変えた地滑り 続報
年頭ブログにも書きましたフンザ地域アッタバード村の大規模な地滑り。現地の人々の懸命な働きは続いていますが、自然の脅威を見せつけられた地滑り、崩落でした。

まるでケーキでもカットするように、ある斜面一体が、深く狭いカラコルム峡谷に滑り落ち、アッタバード村の半分が崩落して消滅。そこの谷自体がなくなってしまったのです。亡くなった村人は20数人になります。少なからぬ被災した村人たちは、みな、親戚宅などで暮らしています。
あのカラコルム・ハイウェーも5キロに渡り、寸断されてしまいました。

前回、危ぶんでいた通り、峡谷深いフンザ川の流れがせき止められたために、二次被害により、わずか数日で大きな湖が出現しました。当初は軍の出動によりダイナマイトで土砂を爆破、川の流れが滞らないようにするのだろうか?!とも言われていましたが、実際はダイナマイト程度で壊せる土砂ではありませんでした。

      地滑りでできた湖。水位がどんどん上がり、これが今月できた湖に見えますか
カラコルム峡谷の地形を変えた地滑り 続報_d0106555_134046.jpg

現地の人たちは、もう自然の地形、風景が完全に変わってしまった、と認識しています。人間が簡単にどうこうできるスケールではなかったのです。

まずは船で両岸を行き来するようになるでしょう。カー・フェリーでもあればいいのですが、無理でしょうねぇ。
往来不可能になったカラコルム・ハイウェーはルート変更で作り直しするしかありません。

カラコルム・ハイウェーを更に北上した中国との国境フンジュラーブ峠(4,700m)も現在、冬季~雪で閉ざされているため、地滑り現場とこの国境の間に位置する上部フンザ/ゴジャール地域は現在、陸の孤島となっています。

この陸の孤島、私どもやガイドたちの故郷でもあります。
切れ切れの携帯電話から時々、様子が入ってきていますが、みな落ち着いているので、安堵した次第です。
もともと自然の要塞に囲まれて生きてきた彼ら民族は、過酷な自然環境がDNAにしみ込んでいるのしょう。いつも私が感じることですが、彼らは自然が何かを知っているし、普段から危機管理能力も高いのです。

自給自足の故郷は、小麦・乳製品・ジャガイモなどの備蓄が通年、通してありますから、日本人の私としては彼らの自給自足の強さを感じますが、と同時に、食用油やチャイ葉、プロパンガスの不足などはこれから困ってくることでしょう。
「油は大丈夫だよ。アンズの木や家畜から取れるから」と、夫ベーグは申しておりますが・・・。

同時に、ハイチの地震被害の悲惨さも毎日、CNNで見ながら、なんとも心中は穏やかになれないです。けれど、今回、被災した村、そして陸の孤島となっているゴジャールの人々は宗教的にも民族的(大家族制・大親戚網)にもソサエティが強固です。互助・ボランティア力も非常に高いため、みんなが助け合っている様子が目に浮かびます。
それぞれが自分にできることをやっているに違いありません。

夫ベーグは数日中に日本からパキスタンへ戻ります。こちらでハラハラし、可能な限りの通信手段でエールを送るしかなかった側から、自分でアクションをおこせる側に戻れることで少しだけ、ホッとしているでしょう。既に依頼事項が来ており、国際電話で打ち合わせしていました。

弟も崩落時にフンザの中心地にいたため、半月たっても自宅側に帰れずにいます。

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by silkroad_caravan | 2010-01-18 10:56 | パキスタン北部あれこれ
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フンザへ嫁ぎ、パキスタン政府公認現地旅行会社&取材業に励む日本人女子が綴る仕事最前線やスローライフ。アフガニスタン取材も得意。Silkrad Caravan Tour, TV Media coverage
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